Ceramic Dripper

陶器ドリッパー

ドリッパー

紙がいらず、味がまろやかになると人気の陶器(セラミック)ドリッパー。じつは「紙を使うタイプ」と「紙のいらない多孔質タイプ」の2種類があります。波佐見焼など産地の違い、味の変化、淹れ方、目詰まりを防ぐお手入れまでやさしく解説します。

そもそも陶器ドリッパーって何?

陶器ドリッパーとは、その名のとおり焼き物(陶器・磁器)でできたドリッパーのこと。プラスチックやガラス、金属のドリッパーに対して、保温性が高く、重みがあって安定し、見た目に温かみがあるのが持ち味です。日本には波佐見焼・有田焼・美濃焼といった焼き物の名産地があり、そこでつくられた美しいドリッパーが数多くあります。「毎日の一杯を、お気に入りの器で淹れたい」という人に選ばれています。

まず知っておきたい:陶器ドリッパーは2種類ある

ここが、いちばん大事で、いちばん混乱しやすいポイントです。ひとくちに「陶器ドリッパー」と言っても、じつはまったく仕組みのちがう2つのタイプがあります。①紙フィルターを使うタイプは、素材が陶器・磁器なだけで、濾(こ)しているのは紙。ハリオV60のセラミック版(有田焼)やカリタHA(波佐見焼)などが代表で、目詰まりせず、お手入れもふつうに洗うだけです。②紙のいらない多孔質(たこうしつ)タイプは、陶器そのものに目に見えないほど細かい無数の穴があいていて、それが紙の代わりに濾すしくみ。紙を一切使わない=ランニングコストゼロ・ゴミも出ないのが最大の魅力で、よく見かける波佐見焼の富士山デザインもこちらです。見分けるコツは「紙フィルターをセットする前提かどうか」。商品説明に『ペーパーフィルター不要』『フィルターレス』とあれば多孔質タイプ、『V60ペーパー用』などとあれば紙を使うタイプです。

「陶器ドリッパー」には2つのタイプがある 紙フィルターを使うタイプ 陶器・磁器のドリッパー本体 例:ハリオV60セラミック(有田焼) カリタHA(波佐見焼)など 濾すのは「紙」→ 目詰まりしない 紙がいらないタイプ 多孔質セラミック(ペーパーレス) 例:燦セラ 富士山(波佐見焼) 有田焼セラフィルター など 本体が濾す→ ときどき目詰まり
同じ「陶器ドリッパー」でも、紙を使うタイプと紙のいらないタイプがある

有名なのは波佐見焼? 産地とメーカーを整理

「陶器ドリッパーといえば波佐見焼?」——結論から言うと、波佐見焼は代表格のひとつですが、それだけではありません。紙のいらない多孔質タイプは、日本各地の焼き物の産地でつくられています。とくに富士山の形をしたセラミックフィルターは波佐見焼の燦セラ(さんセラ)というメーカーのものが広く知られていますが、有田焼のセラフィルターのように別の産地にも定評のある製品があります。産地やブランドで大きく味が決まるわけではないので、まずは「デザインが好き」「サイズが合う」で選んで大丈夫です。(波佐見焼=長崎県、有田焼=佐賀県、美濃焼=岐阜県。いずれも400年前後の歴史がある、日本を代表する焼き物の産地です。)

産地焼き物代表的なブランド・製品
長崎・波佐見波佐見焼燦セラ(富士山デザインなど)、セラフルなど
佐賀・有田有田焼セラフィルター(39arita)など
岐阜・美濃美濃焼各社のセラミックフィルター
その他各地・海外LOCA、コフィルなど

陶器(多孔質)だと、味はどう変わる?

紙のいらない多孔質セラミックで淹れると、一般に「角の取れた、まろやかでやわらかい口当たり」になると言われます。理由は主に2つ。ひとつは、多孔質の細かい穴が、雑味やえぐみのもと、コーヒーオイルの一部などを適度に吸着するとされること。もうひとつは、セラミックが遠赤外線を持つ素材で、お湯や豆の成分にやわらかく働きかけると紹介されることです(各メーカーの説明によるもので、感じ方には個人差があります)。ざっくり言えば、紙が「すっきりクリーン」なら、多孔質セラミックは「まろやかでやさしい」方向。どちらが上ということではなく、好みの問題です。

紙フィルター多孔質セラミック
味の傾向クリーンで澄んだ味角が取れてまろやか
口当たりすっきり軽やかやわらかい・丸い
オイル感少なめ(紙が吸う)ほどよく残る
ランニングコスト紙代がかかる紙いらず・ゴミも出ない

上手に淹れる3つのコツ

多孔質セラミックは、紙よりもお湯が落ちるのが速い傾向があります。何も考えずにドバッと注ぐと、あっという間に落ちきって味がうすくなりがち。だから「ゆっくり、ていねいに」がコツです。①使う前に湯通しする——淹れる前にドリッパー全体にお湯を回しかけて温めます。②挽き目は中挽き〜やや粗めに——細かすぎると微粉が穴に入って目詰まりの原因になります。③ゆっくり一定のペースで注ぐ——細めのお湯で「の」の字を書くように、蒸らし(最初に少量注いで30秒ほど待つ)を入れると味が安定します。なお、おろしたては焼き物のにおいが残ることがあるので、最初の2〜3回は「ならし」と思って使うと、だんだん自分のコーヒーの味に落ち着いていきます。

弱点は「目詰まり」。でもお手入れでずっと使える

多孔質セラミックの正直な弱点が「目詰まり」です。細かい穴にコーヒーの油分や微粉が少しずつ入り込んで固まっていくため、使ううちにお湯の落ちが悪くなります。でも大丈夫、正しくお手入れすれば詰まりはリセットでき、長く使えます。①使ったらすぐ水洗い+ブラシ——洗剤は使わず(多孔質が洗剤を吸ってしまうため)、やわらかいブラシで粉を落とし、仕上げにお湯を通して油分を流します。②ときどきお湯で煮沸する——鍋にたっぷりの水と一緒に入れて5〜10分ほど煮ます(水から一緒に温めると割れにくい。食用の重曹を少し加えると効果的)。③頑固な詰まりは空焼きでリセット——よく乾かしてからコンロの火で数分あぶります。ただし急な加熱・冷却で割れることがあるので、必ず製品の取扱説明書に従ってください。洗剤はNG・急な加熱や冷却は割れのもと・頻度や方法は製品ごとに違う——この3点に気をつければ、多孔質セラミックは長く付き合える道具です。

目詰まりしたときのお手入れ 1 すぐ洗う 使ったら水洗い ブラシで粉を落とす 2 煮沸する お湯で5〜10分煮て 油分を溶かす 3 空焼きする たまに火であぶり 詰まりをリセット
こまめな水洗い+定期的な煮沸・空焼きで、目詰まりはかなり防げます

こんな人に向いている(向かない)

まとめると、「紙を減らしたい」「まろやかな味が好き」「道具に愛着を持ちたい」人には、陶器(多孔質セラミック)ドリッパーはとても楽しい選択肢です。逆に「とにかく手軽に、洗い物も最小限で」という人は、紙を使うドリッパーのほうが気楽かもしれません。どちらが正解ということはなく、暮らし方に合うほうを選べば大丈夫です。

向いている人あまり向かない人
紙やゴミを減らしたいとにかく手間をかけたくない
まろやかでやさしい味が好きキリッとクリーンな味が好き
お気に入りの器で淹れたい落としても割れない道具がいい
お手入れを楽しめる洗い物はできるだけ少なくしたい

※ 味や香りの感じ方には個人差があります。産地・標高・品種などの情報は、その産地で一般的な特徴をまとめた目安であり、 当サイトは特定の品質・健康・美容上の効果を保証するものではありません。

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